蕁麻疹

蕁麻疹はありふれた疾患ですが、まだまだわかっていないことの多い疾患です。
蕁麻疹は経過の長さによって急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹の二つに分かれます。

日本のガイドライン上では、発症してからの期間が6週間以内のものは急性蕁麻疹、6週間以上のものは慢性蕁麻疹であると定義されています。

皮膚の一部分が突然赤くくっきりと盛り上がり、しばらくすると跡形もなく消えてしまいます。
大抵は痒みを伴いますが、それ以外にもチクチクとした感じやヒリヒリと焼けるような感覚を自覚することもあります。

蕁麻疹は、数十分?数時間以内に消えてしまうのが一般的です。
中には24時間程度続くものもあります。

大きさは1~2mmくらいのものから数十cmくらいのものまで多種多様で、それぞれが融合してかなりの面積になることもあります。

形は地図状などと表現されますが、特に意味があるものではありません。

本記事の要旨

蕁麻疹には様々な原因がある
蕁麻疹の治療は塗り薬ではなく抗ヒスタミン薬
検査でわかるアレルギー性の蕁麻疹

蕁麻疹には様々な原因がある

急性と慢性で原因として考えるものは変わります。

○急性蕁麻疹

急性蕁麻疹の場合、感染症、食物、薬剤の3つの関連が疑われます。

  1.  ウイルス、細菌などの感染症
    • 歯科領域(歯槽膿漏、虫歯、歯肉炎など)における慢性の感染症
    • マイコプラズマ
    • ウイルス(パルボウイルスなど)
  2.  食物:魚介類、種々の添加物など
  3.  薬剤性:鎮痛薬など
  4.  疲労、ストレス

○慢性蕁麻疹

慢性蕁麻疹の原因は不明なことが多いです。

蕁麻疹の治療は塗り薬ではなく抗ヒスタミン薬の内服

蕁麻疹の治療には抗ヒスタミン薬を用います。

①耐え難いかゆみなど、当座の症状緩和のための治療

診察時に広範囲に症状が出現している場合やたえがたいかゆみがある場合は、速効性の抗ヒスタミン薬を用います。
さらに症状によっては、抗ヒスタミン薬やステロイド薬の注射を行うこともあります。

②発症から間がない初期の治療

通常量の抗ヒスタミン薬で効果が見られない場合、我が国の保険診療では2倍量までの増量が認められています。
上記のような場合には抗ヒスタミン薬の量を増やしたり、種類を変えたりして調節します。

③長期的な治療

抗ヒスタミン薬の追加や増量でも効果が乏しい場合は、補助的治療薬としてH2ブロッカーやトラネキサム酸といったお薬を併用することがあります。
また、症状が出なくなってからも3ヶ月間は抗ヒスタミン薬の内服を続けていただくことで再発率がグッと下がるというデータがあります。

検査でわかるアレルギー性の蕁麻疹

蕁麻疹が起きる仕組みは大きく分けて二つあり、アレルギー性のものとそうでないものです。
アレルギー性のものについては、血液検査または皮膚を用いた検査で簡単に判定することができます。
皮膚を用いる場合は、原因として疑われる物質を皮膚に載せて針で突く「プリックテスト」を行います。